2017 年 9 巻 1 号 p. 57-64
本稿では,子どもの不安症に対する認知行動療法に関する研究動向の展望を行うとともに,日本におけるプログラム実践研究の紹介を行った。まず,日本での子どもの不安症の同定における問題点が指摘された。次に,子どもの不安症に対する認知行動療法の研究動向について展望を行った。現在のエビデンスに基づく心理療法の基準によると,子どもの不安症に対する心理療法では,認知行動療法が第一選択であると結論づけられた。そのような知見を踏まえ,日本の不安症の子どもに対する認知行動療法プログラムの開発について紹介するとともに,実践研究の成果について報告を行った。本稿で紹介した二つの実践研究の結果から,日本の子どもの不安症においても認知行動療法の有効性が示唆された。最後に,子どもの不安症に対する認知行動療法に関する今後の課題について議論を行った。