不安症研究
Online ISSN : 2188-7586
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巻頭言
原著
  • Hisanobu Kaiya
    2017 年 9 巻 1 号 p. 2-16
    発行日: 2017/10/31
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル フリー

    Background: Anxious-depressive attack (ADA) is a proposed novel symptom complex associated with anxiety and mood disorders. Its main features are (1) sudden intense distressing emotions with no direct psychological cause, (2) intrusive memories of various negative events, (3) worry and agitation about the details of the rumination and (4) various coping behaviors, including acting out. The author has reported five previous cases of ADA. The present study investigates the clinical significance of ADA.

    Method: First, to compare clinical characteristics between subjects with and without ADA, 331 consecutive new outpatients were examined (Study I). Second, because of the similarities between ADA and panic attack, the characteristics of ADA were examined in 65 panic disorder (PD) patients (Study II).

    Results: The overall incidence of ADA was 43.2%. In PD and social anxiety disorder patients, those exhibiting ADA were significantly younger and had significantly more severe depression and social anxiety than those without ADA (Study I). In PD patients with ADA, ADA preceded panic attacks, and ADA frequency was correlated with the severity of depression and social anxiety but not with panic symptoms (Study II). ADA was often managed with acting out behavior (Study II).

    Conclusion: ADA appears to be relatively common among people with anxiety and mood disorders. We found that ADA was correlated with the severity of social anxiety, but not PD. PD patients exhibited a “seesaw” phenomenon between ADA and panic attacks. ADA may be a core symptom complex of a severe form of anxious depression.

  • 貝谷 久宣, 石井 華, 正木 美奈, 小松 智賀, 野口 恭子, 境 洋二郎, 吉田 栄治, 栗林 和彦, 今枝 孝行
    2017 年 9 巻 1 号 p. 17-32
    発行日: 2017/10/31
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル フリー

    パニック症の症状評価尺度である患者用Panic and Agoraphobia Scale(PAS)の日本語版を作成し,その信頼性および妥当性を検討した。DSM-IV-TR(APA, 2000)でパニック症あるいは広場恐怖と診断された外来患者を対象とし,初回面談時,その3日後および4週間後にPAS(患者用)を実施した。その結果,特に未治療の患者に対して,症状の理解が十分でない場合,患者に対して心理士による心理教育を行い,症状の理解を深めてもらうことで,PAS(患者用)は十分な信頼性を有することが示された。しかしながら,妥当性評価では,PAS(患者用)合計点の変化量とPatient Global Impression-Improvementスコアの間に,医師評価ほどの相関関係は認められなかった。そのため,臨床試験等の研究で使用する場合,PAS(患者用)は副次評価とすることが適切と考えられた。

  • 伊藤 大輔
    2017 年 9 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 2017/10/31
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,思考内容が行動を制御するための他の有用な資源を抑えて支配的になる傾向を示す認知的フュージョンが,否定的認知を媒介して,外傷後ストレス症状に悪影響をもたらすというモデルを検証することであった。大学生557名を対象に,外傷体験調査票,認知的フュージョン,トラウマに対する否定的認知,外傷後ストレス症状に対する否定的認知,外傷後ストレス症状に関する測定尺度を実施した。広義のトラウマ体験者281名を対象に,共分散構造分析を実施した結果,想定したモデルの適合度について十分な値が得られた。つまり,認知的フュージョンは,トラウマや外傷後ストレス症状に対する否定的認知に正の影響を及ぼし,トラウマや外傷後ストレス症状に対する否定的認知は外傷後ストレス症状に正の影響を及ぼすというプロセスが示された。今後は,認知的フュージョンをターゲットとした介入法の有効性やその改善プロセスの検証が求められる。

  • 向井 馨一郎, 松浦 直己, 松永 寿人
    2017 年 9 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 2017/10/31
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル フリー

    本研究は,3つの実行機能課題施行中の前頭葉課題の活動をNIRSによって測定し強迫症患者と健常者の比較検討を行い,強迫症患者における精神症状と前頭葉活動の関係を調べた。対象は,DSM-5によって診断した14名の強迫症患者と,年齢と性別をマッチングした16名の健常者である。ロンドン塔課題及び言語流暢性課題において,課題施行中の脳血流変化量は健常者群に比較して,強迫症患者群において有意に低い変化量であった。また言語流暢性課題においては,左背外側前頭前皮質の脳血流変化量と強迫症状の重症度に負の相関が認められた。同時に構造方程式による解析では,うつ症状や不安症状との関連が認められた。これらから,強迫症の併存症状を含めた病態は,前頭前皮質,特に背外側前頭前皮質の脳血流変化量の異常と関連していることが示唆された。

総説
  • 中前 貴
    2017 年 9 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2017/10/31
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル フリー

    薬物療法や行動療法に反応しない強迫症(OCD)患者に対して様々な治療戦略が提案されているが,近年ニューロモデュレーションに注目が集まっている。OCDに対する研究が進んでいる治療法には,外科手術を伴い侵襲性の高い脳深部刺激療法(DBS)や,けいれんを伴う電気けいれん療法(ECT),侵襲性の低い経頭蓋直流電気刺激法(tDCS)や反復性経頭蓋磁気刺激法(rTMS)などがあり,本稿では,各治療法の有効性や有害事象について概説する。DBSは侵襲性が高い一方で重症難治例の半数程度に有効であり,ECTは無作為割付比較試験がないが6割程度の患者に何らかの良い効果を期待できる。tDCSは侵襲性が低いがまだ十分な研究が行われておらず,rTMSはメタアナリシスで有効性が示されているがまだ最適な刺激設定が明らかになっていないなど,それぞれの治療法にメリット,デメリットがあるため,今後のさらなる研究が期待される。

  • 石川 信一
    2017 年 9 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2017/10/31
    公開日: 2017/11/14
    ジャーナル フリー

    本稿では,子どもの不安症に対する認知行動療法に関する研究動向の展望を行うとともに,日本におけるプログラム実践研究の紹介を行った。まず,日本での子どもの不安症の同定における問題点が指摘された。次に,子どもの不安症に対する認知行動療法の研究動向について展望を行った。現在のエビデンスに基づく心理療法の基準によると,子どもの不安症に対する心理療法では,認知行動療法が第一選択であると結論づけられた。そのような知見を踏まえ,日本の不安症の子どもに対する認知行動療法プログラムの開発について紹介するとともに,実践研究の成果について報告を行った。本稿で紹介した二つの実践研究の結果から,日本の子どもの不安症においても認知行動療法の有効性が示唆された。最後に,子どもの不安症に対する認知行動療法に関する今後の課題について議論を行った。

特集:不安と情動のニューロイメージング
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