人工知能学会研究会資料 先進的学習科学と工学研究会
Online ISSN : 2436-4606
Print ISSN : 1349-4104
97回 (2023/2)
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コンセプトマップを用いた協同学習におけるworked example effect:Erroneous examplesに着目した実験的検討
下條 志厳林 勇吾
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p. 07-12

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抄録

worked example effect を検討した研究では,erroneous worked example が認知負荷を低下させ,学習プロセスを深めることが明らかとなっている.そこで,本研究では,コンセプトマップを用いた協同学習場面においてシステムが提示するerroneous worked example とworked exampleが学習パフォーマンスを促進させるのか実験的に検討する.まず,学習者は個別にコンセプトマップを作成し,次に協同でコンセプトマップを作成した.また,学習パフォーマンスを測定するために,その前後にプレ・ポストテストを実施した.システムは,ACT-R を用いて作成した認知モデルを搭載し,学習者の協同コンセプトマップを捉え,コンセプトマップを作成するように設計した.erroneousworked example を提示するシステムには,予め事前知識として,典型的な学習者のエラーを搭載した.その結果,worked example effect は確認されたが,erroneous worked example とworked example条件間に差はなかった.また,システムに対する印象を検討したところ,worked example 条件のみで,個人差があることが分かった.これらの結果は,erroneous worked example の効果を一定程度示唆したものであり,協同学習における教育システムの開発に貢献する.

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