2018 年 2018 巻 FIN-020 号 p. 30-
市場の「流動性」に関心が高まっている.流動性は金融市場の盛況を表す目安とされ,「取引のしやすさ」ともいうことができる.実証研究では,それぞれの研究目的に沿うような流動性指標を用いて,その有用性を議論していた.しかし,それらの指標が市場内外のどの要因の影響を受けて変化するのかは明らかにされていない.そこで本研究では,市場内のどの要素が,流動性指標に影響を与えるのかを人工市場を用いて調査した.その結果,4 つの流動性指標(Volume,Tightness,Resiliency,Depth)は,人工市場のパラメータのうち,1)ティックサイズ,2)投資家の注文戦略を決める成分(ファンダメンタル成分,テクニカル成分,ノイズ成分)から影響を受ける可能性があることが分かった.