2019 年 2019 巻 FIN-022 号 p. 19-
金融資産価格の収益率にはStylized facts と呼ばれる共通に現れる性質があることが知られている。例えば、収益率分布のファットテイル性や絶対値収益率の長期記憶性、ボラティリティクラスタリンなどがある。ボラティリティには長期記憶性が現れるのが知られているが、何故そのような性質が現れるのかは解明されていない。近年、株価の対数ボラティリティ変化の時系列に注目すると、長期記憶性はなく、ハースト指数が0.5 以下の反持続的な(ラフな)時系列となることが知られてきている。本研究では、ビットコイン時系列に注目し、ビットコインの実現ボラティリティを解析し、対数ボラティリティ変化の時系列に反持続的な性質があるかどうかについて分析をした。また、ボラティリティと取引高や取引数は相関があることから、取引高と取引数の変化にもボラティリティと似た性質が現れると考えられるので、これらについても分析し、反持続的な性質が現れるかどうかを調べた。その結果、ボラティリティ及び取引高と取引数の変化の時系列は反持続性を示すことが分かった。また、これらの時系列はマルチフラクタル性も示すことが分かった。