2021 年 2021 巻 FIN-026 号 p. 40-
複数資産からなるポートフォリオのアセット・アロケーションの問題において, 期待リターンとリスクのトレードオフを考慮した平均分散法が使用されてきた. しかし, 期待リターンの推定は困難であり, アウトオブサンプルのパフォーマンスが優れないことなどから, リスクのみに焦点を当てたリスクベースのポートフォリオ構築手法が複数提案されており, 実務を中心に注目されている. 加えて, ポートフォリオを構成する資産変動同士は背後に共通するファクターを持つと考えられ,これらの情報を抽出ために次元削減の手法である主成分分析が応用されている. 本研究では, 量子力学にあらわれるシュレーディンガー方程式を応用したシュレーディンガー主成分分析を用いたリスク分散ポートフォリオとして, シュレーディンガー・リスクパリティポートフォリオを提案する. これによりサンプル点が不等間隔や少数のケースであっても主成分と相互相関が精度良く推定でき, 効率的なリスク分散が可能になると考えられる. 提案手法を既存のリスク分散ポートフォリオと比較し,有効性と課題を検証する.