2024 年 3 巻 1 号 p. 242-247
大糸線信濃常盤構内21号分岐器のヒール部(トングレール後端継目)における通り変位(線路の水平方向の歪み)は,2020年6月頃に管理目標値を超過した.さらに,列車動揺検査においても左右動の管理目標値を超過する状態となり,乗り心地への影響も生じていた.通り変位を解消するため,分岐マクラギの交換を含む通り整正やスイッチマルタイ(以下SW-MTT、分岐器で線路の突き固めを行う機械)施工を実施したが,いずれも効果が持続せず,通り変位の解消には至らなかった.そこで,通り変位の再発原因について,分岐器前後のレール遊間(レールの温度伸縮に備えて継目部に設ける間隔)不足による軸力発生に着目し,ライニング作業(マルタイによる通り整正)と併せて分岐器前後の遊間整正を実施し,通り変位を抜本的に解消した取組みの成果について報告する.