2022 年 2022 巻 FIN-028 号 p. 67-
資産運用では取引コストを抑えるために長期の運用が望ましいが,機械学習において長期の時間情報を学習する場合,学習データ数の不足により充分な学習精度を得ることが難しい.そこで本研究では金融市場の自己アファインフラクタル性に着眼し,短時間情報から様々な時間スケールのデータを複製し,オートエンコーダーの学習および異常検知に活用する.検知された異常株価を投資家心理によるミスプライスとみなし,過大反応に対してはリバーサル,過小反応に対してはモメンタムを想定した運用ポートフォリオを構築する.単一時間スケールの情報のみをオートエンコーダの学習に用いた場合と比較して,複数時間スケールの複製情報を併用した方が学習精度や運用成績を改善できることを確認した.