人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
解釈性とローディングの密性を両立するリスクファクター抽出手法
野間 修平
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2023 年 2023 巻 FIN-031 号 p. 126-133

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抄録

資産配分の文脈において,各資産の価格変動を横断的に説明する共通因子を抽出し,これを介して資産配分を決定する戦略であるFactor Risk Budgeting戦略が注目されている.このような価格変動の共通因子はリスクファクターと呼ばれる.マルチアセット市場におけるリスクファクターを抽出する手法としては主成分分析が広く用いられている.しかし,主成分分析を用いて抽出されるリスクファクターの多くはマクロ経済的な概念と紐づけて解釈することが困難であるため,主成分分析によってリスクファクターを抽出することはFactor Risk Budgeting戦略においてブレスや転移係数を低下させる要因となる.こうした問題を解決する手段として,ファクターローディングが疎性を有するように正則化を施すアプローチが提案されているものの,ファクターローディングが疎であることは様々な実務的問題を伴う.本研究ではローディングが密であり,かつ解釈も容易であるようなリスクファクターを抽出する手法を提案し,マルチアセット市場データを用いた実験によりその有効性を確認する.提案手法は分析対象となる資産が属する資産クラスについての情報を追加的に入力することにより,マクロ経済的な事象と紐づけて解釈することが容易であるリスクファクターの抽出を達成する.

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© 2023 著作者
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