本研究では,統合報告書から抽出された企業における環境活動に関する文が一貫したストーリーとして記述されているか評価したうえで,不足している記述を改善案として生成する手法を提案する.近年,投資家はESG(E:環境,S:社会,G:統治)情報を投資判断において重視している.そのため,企業もESG 情報の発信に注力しており,ESGに関する情報は「統合報告書」に多く記載されている.経済産業省,環境省は,ESG関連情報を1:上位方針の階層,2:実行の階層,3:PDCA の階層の3つの階層に応じて一貫したストーリーとして説明を行うことを求めている.そこで本研究では,まず,統合報告書からE:環境活動に関する文の抽出を行い,抽出された文を1:上位方針の階層,2:実行の階層,3:PDCAの階層,それ以外に分類する.ここで,実際に分類を行うと,階層2までの記述がある企業は多いが,階層3までの記述がある企業は少ないことが分かった.そこで,本研究では数少ない階層3までの記述がある企業の文章を学習データとして大規模言語モデルをファインチューニングし,階層2までの記述で止まっている企業に対して,階層3に相当する文章を改善案として自動生成する.