2024 年 2024 巻 FIN-033 号 p. 106-112
本論文では、ネットワーク理論に基づく新たな動的アセットアロケーションを提案する。近年、ネットワーク構造に基づくリスクファクターが注目を集めており、ノード中心性を用いてネットワークリスクを反映したアセットアロケーションが提案されている。本研究では、ネットワークを複数のコミュニティに分割し、グループ中心性を用いて各銘柄群の重要性を評価することで、コミュニティ構造をアセットアロケーションに反映させる。さらに、市場局面の変化をネットワーク大局的指標のひとつであるネットワーク直径で検知し、これを中心性指標に基づく重要性と組み合わせることで、市場局面に応じた動的アセットアロケーションを実現する。実際の市場データによる実証分析を行った結果、提案手法は優れたパフォーマンスを示し有効性を確認した。