人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
有価証券報告書のテキストから得られる多次元感情と株式リターンの分析
冨樫 歩大佐野 幸恵岡田 幸彦
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2024 年 2024 巻 FIN-033 号 p. 185-191

詳細
抄録

近年,情報技術の発展に伴い,従来までは扱えなかった非構造化データ,特にテキストデータを用いた研究が,金融分野においても盛んに行われている.中でも有価証券報告書は,企業の状況を外部に報告するための書類であり,分析対象として注目を集めている.テキスト分析においては,記述内容がポジティブかネガティブかを表すセンチメント分析が主流であり,事前に定義した単語リストを用いる辞書アプローチや,BERTなどの深層学習を用いた機械学習アプローチが存在する.さらに,Twitter(X)のテキストに対しては,センチメントを細分化した多次元感情を分析した研究が存在し,株価を予測する上では,多次元感情が有効であることが示された.しかし,多次元感情を有価証券報告書のテキストから分析した研究は我々が知る限り存在しない.そこで本研究では,従来までのセンチメント分析を拡大し,辞書アプローチと機械学習アプローチを組み合わせることで,"怖""驚""喜"といった10種類の多次元感情を約12,000件の有価証券報告書から算出した.そして,有価証券報告書公表後の株式リターンに対する説明力を,イベントスタディを用いて分析した結果を報告する.

著者関連情報
© 2024 著作者
前の記事 次の記事
feedback
Top