2024 年 2024 巻 FIN-033 号 p. 76-83
金融分野における研究では、データの不足がしばしば問題となる。特に価格の急落局面などの極端な事例について問題は顕著になる。この制約を受け、金融時系列データの合成が注目されている。近年では深層生成モデルが合成金融データ生成に用いられているが、深層生成モデルは合成データの操作性に課題がある。深層生成モデルは学習データに適合してデータ生成を行うため、リスク評価において重要である極端事象のサンプリングは困難である。この研究では、従来の金融データ合成モデルの課題である操作性を解決するため、Conditional Financial Diffusion model (CoFinDiff) を提案する。CoFinDiffは、拡散モデルを用いて、クロスアテンションを通じてトレンドと実現ボラティリティに条件付けられた価格系列を生成する。実験結果から、CoFinDiffはファットテールやボラティリティクラスタリングを満たし、かつ価格のトレンドや実現ボラティリティという二つの条件に従う一分足の株価の価格系列を生成できることが明らかとなった。