2025 年 2025 巻 BI-027 号 p. 01-
北海道では近年ヒグマによる人身被害が増加しており、猟友会の出動は重要とされるが、その効果を定量的に検証した研究は乏しい。本研究では、ヒグマと狩猟者の空間的・動的な相互作用を再現するマルチエージェントシミュレーションを構築し、猟友会の活動がヒグマ出没頻度や人身被害に与える影響を分析する。ヒグマは季節に応じて生息地・市街地・住宅地を移動し、エネルギーや餌に基づく行動を取る。狩猟者は個体差ある技能やパトロール範囲を持ち、加入・引退も確率的に発生する。本モデルでは現実の北海道の状況に基づき、捕獲活動によって人身被害の発生頻度が低下する可能性を示し、猟友会の活動と人身被害の関係について検討することを目的とする。