2025 年 2025 巻 FIN-034 号 p. 34-41
ETFは資金は小額だがいろんな資産に分散投資したい個人投資家にとって有効な投資手段となっている.しかし,金融市場では裁定取引によってETFを含む複数の市場にショックが伝搬すると言われている.そのため金融当局や証券取引所は市場安定化のため,値幅制限やサーキット・ブレイカーなどの規制を設けることがあるが,市場によって導入されている規制はまちまちである.そこで本研究では人工市場を用いてETFとそれを構成する原資産市場を構築し,ショックが発生したときの下落要因と規制の有無によってそれがどのように伝搬するか調査した.その結果,裁定取引によって他の市場へショックが伝搬することが確認できたが,ETF市場の価格下落時は原資産市場に規制がない方が下落が抑えられるということがわかった.