2025 年 2025 巻 FIN-034 号 p. 56-62
本研究では、推薦システムにおける多様性向上の概念を適用したアセットアロケーション手法を提案する。推薦システムとは、利用者の選好や行動履歴に基づき商品やコンテンツを提示する技術である。利用者の興味に合うアイテムを提示する必要がある反面、類似したアイテムを過剰に含む推薦は満足度を低下させる可能性がある。これに対処するため、利用者の選好への適合と推薦アイテムの多様性のトレードオフを考慮する手法が提案されている。本研究では、行列式点過程や周辺関連性最大化を用いて、投資家の見通しを各資産に対する選好度、資産間の相関をアイテム間の類似度としてモデル化する。集中投資による期待リターンの向上と、分散投資によるリスク低減の両立を図る新たなアセットアロケーション手法を提案する。米国株式市場のデータを用いた実証分析を通じて、提案手法が従来手法と比較して優れたパフォーマンスを示すことを確認した。