人工知能学会第二種研究会資料
Online ISSN : 2436-5556
有価証券報告書のサステナビリティ記述に関する分類および体系化
梅原 武志武田 英明
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2025 年 2025 巻 FIN-035 号 p. 164-171

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抄録

本研究では,有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記述内容について,内容の分類および重要語の抽出を行い,企業ごと,業界ごとの取組内容の差異について分析した.2023年3月期以降,企業のサステナビリティ情報の開示が義務化されたことで,有価証券報告書のデータ抽出による企業のサステナビリティに関する取組内容の収集は容易となった.しかしながら,有価証券報告書の記述は十分に構造化されていないため,複数企業にまたがる横断的な分析を行うためには,事前にサステナビリティに関する記述内容を抽出してデータの構造化をする必要がある。サステナビリティ開示のフレームワークとしては、例えばGRIスタンダード、SASBスタンダード、TCFD提言などの複数の基準がある.企業の取組内容を対応づけるうえで,有価証券報告書中の特定の取組に関する記述がこれらのフレームワークのどの項目に該当するのか分類することは重要であるが,自由記述のテキストの中から正確な分類を当てはめることは困難である.そこで本研究では,テキストマイニングの技術を用いて,有価証券報告書中のサステナビリティに関する取組内容の記載を抽出し,企業ごとの取組内容を分類・可視化するとともに,業種ごとの取組内容の差異に関して分析した.また,分類ごとに重要語を抽出し,SDGオントロジーで定義された概念との対応付けを行うことにより,さまざまな課題に対して企業がどのような具体的な取組を行っているのか体系化を試みた.

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© 2025 著作者
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