主催: 人工知能学会
会議名: 第100回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 100
開催地: 国立国語研究所 講堂
開催日: 2024/02/29 - 2024/03/01
p. 33-38
会話では,眼前の事物に言及することもあれば,過去や未来の特定の場所で起こった(る)出来事,さらには実際には生じない架空の出来事に言及することがある。そして,その時間や場所は会話の途中で頻繁に移行する。そのため会話の参加者は,発話で言及される対象や出来事がどの時間・場所で生じたものであるかを推論する必要がある。これまで,過去に起こった出来事を語る言語表現についてはナラティブの研究があるが,現在,未来,架空の出来事も含め会話中の移行に関する研究は少ない。そこで本研究は,話し手が特定の出来事や対象に言及する際,その出来事が生じた時間や場所のことを「シーン」と呼び,過去・未来・仮定の時間の違い,眼前・眼前以外の場所の違いが実際の会話の中でどのように表現され,シーンの移行がどのように行われているのかを『日本語日常会話コーパス(CEJC)』を用いて調査し,その結果を報告する。