主催: 人工知能学会
会議名: 第103回言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 103
開催地: 早稲田大学 40号館 グリーン・コンピューティング・システム研究開発センター
開催日: 2025/03/20 - 2025/03/22
p. 258-261
本発表は、発達障害児童が参与したトランポリン教室を対象としたビデオ行動観察を報告する。この教室には、ダウン症児童や自閉症児童といった発達障害児童が通っており、発達障害児4人と講師1人が参与していた。児童は1人ずつ跳び方の指導を受けており、その間、他の児童は待機している必要があった。教室の冒頭では、講師の呼び出しに基づいて、児童たちは跳ぶ順番を交替していた。活動が進むにつれ、児童たちは自発的に、跳ぶ順番を身体配置として具体化しながら待機するようになった。最終的に、講師が児童を逐一呼ばずとも活動が進むようになった。様々な相互行為は、参与者たちが何らかの順番を適切に交替することで円滑に進行する。本発表でみた指導も、跳ぶ順番を児童たちが具現化し、それを講師も理解することで、円滑に進んでいた。これは、相互行為の基盤となる順番交替を適切に達成するための能力を発達障害児が有していることを示唆している。