人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会
Online ISSN : 2436-4576
Print ISSN : 0918-5682
92回 (2021/9)
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ほめのジレンマとほめ直しストラテジー-フェイスと会話分析の視点から-
趙 文騰
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p. 02-

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抄録

ほめ行動は肯定的な評価を与えることで、ほめられ側の認められたいという欲求(以下PF)を満たすことができる。ほめられ側にとって、ほめへの同意の返答が選好されるが、その同意が自画自賛につながっているというジレンマに直面する(Pomerantz,1978)。一方、ほめられ側がほめを受け入れなかった場合、今度はほめ側がほめを続けるか否かというジレンマに直面する。ほめを続けた場合、ほめられ側のPFを立てることができる一方で、逆にほめられ側に心理的負担をかける恐れがある。これまでの研究は「ほめのジレンマ」をほめられ側の問題としてのみ捉え、ほめ側のジレンマを分析した研究はほとんどない。本発表では、日本語日常会話コーパスを用い、ほめられ側がほめを受け入れなかった後のほめ側の行動を分析した。その結果、ほめが受け入れられなかった場合、ほめ側は「情報確認」というほめ直しストラテジーを取ることが明らかになった。

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