主催: 人工知能学会
会議名: 第94回 言語・音声理解と対話処理研究会
回次: 94
開催地: オンライン
開催日: 2022/03/05 - 2022/03/06
p. 10-
本研究は,高齢者の初対面会話の中で交わされるやりとりを通して,親疎関係をどのように調整し交友関係を形成するのかを明らかにする.分析のため,話し手と聞き手の発話にスピーチレベルを付与し,どのレベルの発話が使用されるのか,そのレベルがどのようにシフトするのかに着目する.具体的には,初対面同士で70歳以上の女性8名を対象に収録した二者会話を書き起こし,話し手発話1520個,聞き手発話2188個にスピーチレベルを付与した.その結果,スピーチレベルは話し手では丁寧体,聞き手では普通体を基調に用いられていたことから,参与役割でスピーチレベルを使い分けていることが示された.さらに,事例分析では,同じ表現でも内容に応じて微かな親疎の差を調節していることや,相手のレベルに同調しつつ心的距離を調整していることが観察された.