人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会
Online ISSN : 2436-4576
Print ISSN : 0918-5682
98回 (2023/9)
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接触場面における感情カードを用いた関与領域の拡張と理解の提示—日本語母語話者と非母語話者による対等な話し合いを目指して—
平田 未季杜 長俊
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p. 07-12

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抄録

発表者らは、同じ地域に住む日本語母語話者(NS)と非母語話者(NNS)がまちづくりについて対等な話し合いを行うことを目指し実践研究を行っている。本発表が分析対象とする演劇ワークショップでは、参加者は、寸劇を通じディスコミュニケーション場面を体験したのち、同数のNSとNNSを含む5つのグループに分かれ、その解決策について話し合いを行った。伝達補助ツールとして、参加者全員に多言語併記の感情カードを配布し、日本語初級のNNSを含むグループには通訳をつけた。話し合いでは、傍参与者だったNNSが感情カードを用いることで、NSのみで形成された関与領域がNNSを含む形で拡張される、NNSがNSの発話に理解を示したと受け取られるなどの様子が観察された。このように感情カードというツールにより、NNSが通訳を介さず周辺的な参加から中心的な参加へと移行し、話し合いの展開に影響が及ぼされた。

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