抄録
非破壊の米品質評価技術の確立に向けて,紫外線励起蛍光画像法を用いた米鮮度評価システムを試作した。本システムは小さな暗室内に組み込んだ励起光源(落射・透過),試料ホルダ,蛍光画像取得の冷却CCDカメラ,排気ファン及び操作・解析用パソコンから構成される。紫外域光の励起により米から発光される蛍光の強度を米品質劣化の指標とする非破壊かつ簡便迅速な米鮮度評価方法である。貯蔵試験を通じて,米から発光される蛍光をもとにその蛍光強度を測定し,併せてグアヤコール反応など米品質を示す従来の理化学指標との相関性等をもとに本システムの適応性を検証した。その結果,蛍光強度は貯蔵温度や貯蔵期間に連動して変化する傾向を示し,理化学指標と有意に高い相関を有することが明らかとなった。本システムによって貯蔵履歴にともなう米の品質変化を推測可能であると考えられた。