抄録
本報では,自脱コンバインに有用であった湿材適応技術を汎用コンバインへ適用し,その有用性について述べた。フッ化樹脂コートを施した揺動選別機構等を備えた汎用コンバインを開発し,水稲の収穫試験において自脱コンバインと同様の効果を確認するとともに,大豆の収穫試験を行った結果,水分の高い大豆を収穫した場合の汚粒発生割合や汚染度が,従来機と比較して低減したことから,汎用コンバインの収穫作業時間帯の拡大や大豆の高品質生産に寄与できると考えられた。また,開発機を用いて,揺動選別機構に施したフッ化樹脂コートの耐久性試験を行った結果,大豆ほ場において約60ha収穫しても,フッ化樹脂コートの一部分が摩耗した程度であった。以上より,湿材適応技術は汎用コンバインの水稲収穫作業や大豆収穫作業に有用であった。