抄録
チエンソーがわが国の造材現場に普及し始めて二十数年の歳月を経た。この間に, 関係者によって導入上の指針をうるための現場作業試験が実施され, 更に振動障害が社会的関心を呼ぶに至って低振動化対策, 無振動化が進められた。ところで, チエンソーなしでは今日伐木造材を語れない情況にあるにもかかわらず, その機能部品であるソーチエン切刃に関した切削性能上の基礎的な知見が不足している。そこで本研究は, これらを明確にし, 利用上の指針を得るため, ソーチエンの木材鋸断時における切削抵抗特性を実験解析した。第1報では, 本研究のため開発試作した実験装置並びにその性能を検討し, 第2報では, 最近の刃型4種類が具備している切削抵抗特性を解析, 第3報では, 目立て角度の切削抵抗に及ぼす影響を調べ, 第4報では, 樹種の相違による切削抵抗の大小関係を論じた結果について報告する。