1992 年 54 巻 2 号 p. 75-82
食パンのテクスチャに関係する品質評価の指標として最も重要と考えられているクラムのかたさについて, 圧縮力―変形率曲線に基づき, かたさとその経時変化を測定し, 製パン条件及び保存条件がかたさに及ぼす影響について検討した。その結果, 保存中のクラムのかたさは焼成後の経過時間に比例し, 焼成後12時間までに急激に硬化することが判明した。また, ローフの縦方向にはかたさの分布が存在し, この分布は生地の成形方法によって異なり, ローフ比容積, 焼成温度および焼減率により影響を受けた。5~20℃では保存温度が低ければ低いほど食パンの硬化が速まることが明らかになった。