1994 年 56 巻 4 号 p. 27-34
一般に, 畳表の材料であるイ草は束ねられ, 泥染めされた後, 熱風乾燥機内に立てた状態で詰められ, 乾燥されている。しかし, 束乾燥における泥染めの効果や, 乾燥過程の研究はまだ不十分と思われる。特に, 乾燥の理論的検討はまだなされていない。著者らは, 1本イ草の乾燥特性を基に, 立て詰め束イ草乾燥モデルをつくり, 束乾燥の数値シミュレーションを行うと共に乾燥実験を行った。そして, 実験結果とシミュレーション結果を比較検討し, 以下の結論を得た。1) シミュレーション結果と実験結果はよく一致しており, 本乾燥モデルは束イ草乾燥過程を表すのに十分有効である。2) イ草表面に付着した泥は乾燥風からイ草への熱移動にほとんど影響を与えていない。