農業機械学会誌
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接ぎ木苗生産の機械化に関する研究 (第3報)
活着・順化装置の試作とプラグ・イン接ぎ木苗の特性
西浦 芳史穂波 信雄平 知明
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1999 年 61 巻 6 号 p. 91-101

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抄録

前報までに新しく提案したプラグ・イン接ぎ木法の加工装置についてトマト(Lycopersicon esculentum Mill.) 苗を材料に検討した。その接ぎ木実験の結果で, 活着程度の評価は活着率だけでは不十分であり, 活着後の生育活性などを加える必要性が生じた。さらに, 活着・順化装置の役割も重要であることが明らかとなった。そこで, 本報では, 活着率, 生育活性の向上を図るべく活着・順化装置を試作し, その有効性を検討した。その結果, 超音波加湿方式が温湿度制御の安定性と即応性で比較的に優れていた。次に, この試作活着・順化装置を用いて成苗させたプラグ・イン接ぎ木苗の特性を調べた。その結果, 等法性を持った接合形状であるプラグ・イン法は, 接合面が大きくかつ密着度が高くなった。穂木・台木間における養水分の通道が円滑で, 地上部および地下部の発達がバランスよく生育し, シンクとソースの相互作用が十分に発揮されていた。また, 茎軸の軸心全体を全周で支持するため, 台負け現象は生じないことが明確となった。

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