農業機械学会誌
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貯蔵米の品質維持に対するヒートショック処理効果の研究
白米について
グエン トアン クォク後藤 清和
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2008 年 70 巻 3 号 p. 49-57

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抄録

白米 (コシヒカリ, 2005年岐阜県産) に対して熱処理を行い, その後の貯蔵中における品質維持に対する効果を検討した。加熱機器として, 一様加熱が可能な熱源としてマイクロウェーブを使用し, 加熱温度を60, 70, 80℃, それぞれの温度について保持時間を0, 1, 3分に設定した。熱処理後, 40℃の過酷な条件で6ケ月間貯蔵し, 経時的に各種の品質指標の変化を測定した。無処理の対照区については高温貯蔵のため, 熟成過程 (aging) およびそれに続く老化過程 (deterioration) は次のとおり促進された。つまり, 炊飯時の容積膨張率は初期に増加し, その後ゆるやかに減少する傾向を示した。加熱吸水率, 可溶性糖含量, 総デンプン含量および可溶性アミロース含量は処理後の1~2ケ月で急激に減少し, その後は低い値で推移した。滴定酸度, 総アミロース含量, 不溶性アミロース含量はいずれも増加した。一方, ヒートショックを受けた米も上記のような傾向を示すが, その変化は特に処理後の1~2ケ月において遅延した。60℃と70℃でのヒートショックが熟成, 老化過程の遅延に効果的であることが明らかとなった。今回の実験の範囲では, 処理温度が同じ場合, 温度の保持時間が長いほどその効果が大きい傾向が見られた。実験結果を総合的に判断すると, ヒートショックは貯蔵中の白米の品質管理に有効であることがわかった。

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