人工臓器
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PAN膜血漿分離法とXAD-4レジン灌流法の併用に関する研究
川俣 孝
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1982 年 11 巻 3 号 p. 786-793

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抄録
XAD-4レジンのビリルビンに対する吸着能は血清中で40%と良好であったが, 正常犬に対する血液灌流では白血球数, 血小板数は40%以下に減少した. そこで血液適合性を改善するための方法としてPAN膜を用いて分離した血漿をXAD-4レジンで灌流する方法の開発を試み, 実験的急性肝不全モデルに適用し, 以下の結論を得た. 1) 灌流群では対照群に比較し最長生存期間の延長がみられたが, 平均生存期間には有意差はなかった. 2) 灌流群では対照群に比較し血清GOT, GPTの上昇が有意に抑制された. 3) PAN膜により分離した血漿のみをXAD-4レジンで灌流するため直接血液灌流と比較して, 白血球数, 血小板数はわずかな減少を認めたのみであった. 以上より本法は肝不全における解毒能の代行装置として臨床的にも応用しうるものと考える.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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