人工臓器
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洞不全症候群における心房ペーシングの有用性について
―心室ペーシングとの比較検討―
村松 博文喜多 村敬安藤 重幸加藤 林也平田 幸夫林 博史外畑 巌村瀬 允也
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1982 年 11 巻 6 号 p. 1124-1127

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抄録
洞不全症候群(SSS)に対する心房pacing(AP)の有用性を検討するためSSS患者28例を対象として術后遠隔期、AP群15例(男2、女13、平均年齢58.2才)と心室pacing(VP)群13例(男2、女11、平均年齢63.2才)の臨床症状、CTR、運動耐容能を比較した。術后脳虚血症状は両群とも全例消失したが、術前に存在した日常労作時の呼吸困難はAP群8例中6例(75%)、VP群11例中4例(36.4%)で消失した。CTRはAP群術前60.2±2.8%、術后(平均19.1カ月)52.9±4.4%へと有意に減少した(P<0.01)が、VP群では変化しなかった。Treadmill運動時間はAP群11.2±1.4分、VP群9.3±2.4分で、両群間に有意差(P<0.05)を認めた。APは心室充満に対する心房収縮の同調と正常心室内伝導が維持されるため、VPに比しより多い心拍出量が期待される。AP群ではVP群に比し臨床症状改善が優れ、CTRもより減少し、運動耐容能もより向上した。SSSに対し、APはVPに比しより優れた、生理的pacing法であると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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