人工臓器
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心房刺激型ペースメーカのsensing不全の原因と対策
加藤 林也村松 博文安藤 重幸平田 幸夫林 博史外畑 巌村瀬 允也
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1982 年 11 巻 6 号 p. 1128-1131

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抄録
洞不全症候群(SSS)における心房pacemaker(AP)のsensing不全と心房電位の関連を検討した。対象はAP植込を行ったSSS 16例(男2、女14例、平均年齢58.9才)であり、心房電位の測定には右心耳の電極を用いた。多段階Treadmill exercise test(TMT)を施行し、運動中のsensingの良否を測定した。TMTにてoversensingは認められなかったがundersensingは10例(62.5%)に認めた。Sensing良好な6例(I群)の心房電位は2.25±1.05mV、HRの増加と共にsensing不全を示した5例(II群)では1.40±0.67mV、全自己心拍に対しsensing不全を示した5例(III群)では0.54±0.09mVであり、III群の心房電位はI・II群に比し有意に(P<0.01、P<0.05)低値を示した。APのsensing閾値は0.75~1.00mVであり、undersensingを避けるには閾値の約2倍の安静時心房電位が必要であると考えられた。SSSでは洞機能障害に合併する心房病変が心房電位の低下を来し、そのためsensing不全を惹起した。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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