1982 年 11 巻 6 号 p. 1171-1174
ミクロ相分離構造を有する櫛型コポリマーSA上で特異的にリンパ球粘着が抑制され, さらにBリンパ球が選択的に粘着されることが判明した。このような効果は, あらかじめアルブミンを材料上に吸着させておくとより顕著となった。このような機能は, SA自体のミクロ相分離構造あるいはSA上に形成された相分離吸着アルブミン層がリンパ球の膜流動を制御し, その活性化を抑制することにより発現されるものと考えられた。また, このような材料の特異性を定量的に把握する方法として速度論的解析を導入し, 個体差等の実験条件に左右されずに材料間の差を整理することを試みた。その結果, ミクロスフィアカラム法におけるリンパ球の見かけの粘着速度は, 一次の速度式に従うことが明らかとなり, 速度定数の値より各材料の粘着性を定量的に比較することが可能となった。