抄録
化学構造を系統的に変化させることにより結晶性の異なるポリエステル及びポリアミドを合成し, これら材料表面に粘着した血液細胞の脱着性を材料の高次構造, とりわけ結晶性に着目して検討した。血液との相互作用はミクロスフィアーカラム法によった。ポリアミドでは, とりわけメチレン鎖長4~8において顆粒球の選択性及び脱着性が極めて優れており, 市販の材料であるナイロン6の回収率が34%であったのに対し, 最も脱着性の高いポリアミドでは回収率が68%であった。また材料表面に粘着した顆粒球の脱着性は, 材料の結晶性と比較的良い相関を示し, 材料表面の結晶状態, すなわち結晶-非晶によるミクロ不均質構造が細胞の粘脱着を制御する機能を有していると考えられた。