抄録
肝臓の二大機能のひとつである代謝機能の補助を意図して、遊離肝細胞を代謝系のreactorとした代謝補助モジユールの試作を行つた。モジユールの概要は、肝細胞浮遊槽中にPMMA中空糸膜を張りこの膜を介して患者血液と浮遊肝細胞とで物質代謝を行わせようとするものである。In-Vitro実験でアンモニアの減少と尿素窒素およびグルコースの増加が観察されたので、ガラクトサミン投与肝障害犬およびEck犬と灌流実験を行った。中空系膜型血漿分離器で分離された血漿を試作代謝モジユールに灌流させ、6~7時間の灌流を行った。灌流中さらにNH4Cl溶液を負荷して、一般検血および血液生化学検査を施行したところ、灌流早期に減少した赤・白血球,Htはまもなぐ前値に回復し、尿素窒素, グルコース値に著変はなかつたが、アンモニア濃度は減少するのが観察された。このことは、本法による代謝補助装置開発の可能性を示唆するものである。