1983 年 12 巻 1 号 p. 104-107
肝不全治療のための血漿交換療法の一法として, 2台の膜型血漿分離装置を使用した, 同時血漿採取交換療法について研究してきたが, 今回, その効果について検討した。本法では, 凍結保存, 溶解による新鮮血漿の効力の減少が最も少ないと考えられ, また, 大量の血漿を供血者から容易に得ることのできる方法である。今回, 肝不全モデルとして, ビーグル犬にD-ガラクトサミンによる急性肝障害を作成し, 2頭の健常犬を供血者として本法を施行した。採血漿, 補液のバランスのとれた回路を用いることにより, 供血犬, 肝障害犬いずれも, 全身状態に著変は起こらず, 安全, 容易に本法が施行された。本法の効果は, 健常血漿による希釈効果と考えられる, トランスアミナーゼ等肝不全時増加因子の著明な減少, 及びプロトロンビン時間, 凝固因子の減少の一定程度の改善, 及び延命効果として認められた。