1983 年 12 巻 1 号 p. 16-19
拍動型ポンプを使用した全置換型人工心臓と無拍動型遠心ポンプによる両心バイパス実験(仔牛使用)で、左右ポンプをそれぞれ独自に駆動させたところ、10から20%に及ぶ左右ポンプの流量差(左>右)が発見された。これらの流量差は、血行動態、特に両心房圧、を正常範囲内に保つために、必要な生理学的条件の1つであった。また、これらの流量差と、大動脈圧、大動脈圧と左房圧との差及び末梢抵抗との相関系数は、0.6~0.8と高値を示した。右心系との相関関係は見られなかったので、これらの流量差は、気管支動脈を介した、大動脈から左房への短絡を意味するものと考えられる。尚、これらの流量差については、今までには、報告されていないが、人工心臓の駆動条件の設定及び、埋め込み型人工心臓の設計において重要な因子の1つであるので、今後の追求を必要とする。