人工臓器
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ダイナミックパッチ型左室補助装置〔PATCH-ILVAD〕の効果について
許 俊鋭MJ. BUCKLEYCD. LIAPISFH. LEVINEWG. AUSTEN尾本 良三
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1983 年 12 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

急性心筋硬塞のため広範な左室壁心筋壊死が生じ重篤な心原性ショックに陥った患者は緊急冠動脈再建手術では左室のPump failureのため救命することは極めて困難である。
このような症例においてParadoxical movementにより左室機能に重篤な障害を与えている硬塞壊死部を切除し, 一時的左室補助機能を持つ人工的左室壁で置換することを目的としてダイナミックパッチ型左室補助装置は開発された。雑種成犬12頭(第一群)において本装置の血行動態に及ぼす効果を検討した結果, 平均大動脈圧は20~36%, 平均心拍出量は17~50%増加し, 平均左房圧は16%低下した。更に6頭(第二群)において右室バイパスモデルを用い虚血心筋代謝を検討した結果, 前負荷, 後負荷, 心拍数一定の条件下で, 本装置はTension time index(TTI)を21~26%低下させ, 心筋酸素消費量を24~29%減少させることにより, 心筋代謝面でも虚血心筋に有利な効果をもつことが明らかになった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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