人工臓器
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ヘパリン化コラーゲン代用血管
野一色 泰晴宮田 暉夫
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1983 年 12 巻 1 号 p. 162-165

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抄録

コラーゲン線維をヘパリン化する方法を用いて, 内腔面をヘパリン化したコラーゲン線維製代用血管を作成した。40頭の成犬胸部下行大動脈に植え込み, 植え込み直後より6ケ月に到るまでの試料を採取し, 肉眼的, 光顕的に検討した。対照として, 16頭の成犬にヘパリン化していないコラーゲン線維製代用血管を植え込み, 同様の期間観察した。採取した標本では, 対照群では植え込み直後より厚い血栓形成がみられたのに対し, 実験群では観察期間を通して血栓の付着は認められず, ヘパリン化の効果が著明であった。外膜側結合組織からの新生血管壁内への線維芽細胞や細血管の侵入は1週間目からみられ, 2週間目では著しかった。このような早期の治癒傾向は布製人工血管では決してみられない現象であり, コラーゲン線維製の有利さを示した。観察期間中, 対照群より遅れながらも内皮細胞の被覆が進行した。この間, 血栓形成は全く認められず, ヘパリン化の効果が明らかにされた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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