日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
2003年度 日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会
セッションID: C-34
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C:岩石・鉱物・鉱床学一般
Mgイオンを含む溶液混合法により合成されたカルサイトの形態変化の特徴 -ピーナッツ型結晶について-
*西田 孝門脇 正朋古川 登
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抄録

Mgを含むカルサイトは天然でも普遍的に産出する重要な鉱物であり、その産出、生成に関しては天然、人工共に多くの研究報告がなされている。その中にはピーナッツ型の結晶形態をもつ結晶が報告されている。今回、常温での溶液混合法によりMgを含むピーナッツ型のカルサイト結晶を合成した。CaとMgの陽イオン濃度の違いによるピーナッツ型結晶の生成領域について調べた。またピーナッツ型結晶はカルサイト型の結晶構造をとり、カルサイトで一般的に見られる(0001)を双晶面とする双晶結晶であることを確認した。成長に伴う形態変化の観察と共にその成因について検討した。また他の不純物によるピーナッツ型結晶の生成についても言及する。
実験方法:合成は室温での溶液混合法を用いた。経過時間ごとに沈殿物は濾過して乾燥する。塩化カルシウム(Ca)、塩化マグネシウム(Mg)、炭酸ナトリウムを溶質として用い、陽イオンを含む溶液のモル濃度を陰イオンのモル濃度と一致させた溶液を用いた。塩化マグネシウムの濃度は0.07Mから0.01Mまでの実験を行った。また、ピーナッツ型結晶の時間経過による成長、溶解、再成長による形態変化の観察を行った。試料は粉末X線回折、SEMによる形態観察、EPMAによる分析を併用した。
結果:XRDによる分析結果から、Mgイオンの溶液濃度が低くなるにつれ、順次ドロマイト側より本来のカルサイトの格子定数に近づく。 ピーナッツ型結晶は溶液中のMg:Caが1:9から徐々に増加し、3:7をピークに4:6で減少し、5:5以降では確認出来ない。時間経過による結晶形の変化の実験(0.5h∼168h)ではピーナッツ型∼だるま型∼球晶へと変化する。 ピーナッツ型結晶を0.01∼0.00001%の塩酸で腐蝕することにより結晶軸の方位関係を明らかにすることが出来た。3回回転軸を持つc軸にそって互いに60度回転した(0001)を双晶面とした双晶関係になっている。この双晶形式はカルサイトに一般に見られる頻度の高い双晶の一つである。 XRDのピークの半価幅の変動と粒度、結晶の完全性、成長の速度との関係、経過時間による粒度分布の変化とオストワルトライプニングとの関連等も検討した。

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© 2003 日本鉱物科学会
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