人工臓器
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高ビリルビン血症を主症状とした肝不全に対するPlasmapheresisの適応と限界
大竹 喜雄小高 通夫平澤 博之小林 弘忠織田 成人小林 進佐藤 博中島 燿子伊藤 道博
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1983 年 12 巻 1 号 p. 297-300

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抄録

Haemonetics Model 30を用いて24症例に対して計71回の血漿交換を施行した。そのうち術後高ビリルビン血症は13例で41回の血漿交換を施行した。術後高ビリルビン血症のうち肝切除後critical stageにおける高ビリルビン血症に対する血漿交換は有効であるが、術後multiple organ failure時の高ビリルビン血症に対しては血症交換はビリルビンの急激な増加を抑制するが救命には至らない。体重に対する血漿交換率とビリルビン値低下率の間に正の相関Cr=0.739)がある。体重に対する血漿交換率5%でビリルビン値低下率は50%であった。血漿交換の意識レベルの改善に及ぼす影響については、体重に対する血漿交換率が7%以下ではほとんど改善は認めなかった。高ビリルビン血症を伴った肝不全に対する血漿交換は病態によっては著効は認められず、単なるbilirubin removerにすぎない場合もある。血漿交換は大量の新鮮凍結血漿を用いるのでcost-benefit ratioから適応を十分考慮する必要がある。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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