人工臓器
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がん患者における血漿交換療法
河野 博光矢島 啓二中西 幸造峠 哲哉服部 孝雄
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1983 年 12 巻 1 号 p. 301-304

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抄録

担がん生体の血清中には, 病期の進行とともに増加する種々の免疫抑制物質が存在し, これが効果的に免疫化学療法を行う上での大きな問題点となっている。そこで我々は, この血清中の免疫抑制物質を除去する目的で血漿交換療法を導入し, 補充液として, 実験的に化学療法との相乗的な抗腫瘍性を認めた新鮮凍結血漿を用いて, その臨床効果, 免疫学的パラメーターの検討を行った。9例の進行がん患者に化学療法を併用しながら本法を施行し, 5例の症例に腫瘍の縮小を認めた。免疫学的パラメーターにおいては, 患者リンパ球PHA幼若化反応は改善し, 患者血清添加によるPHA反応の抑制率は減少した。又, 患者リンパ球のサプレッサー細胞活性は低下し, さらに患者血清によるサプレッサー細胞活性の誘導も低下した。本法により患者血清中の免疫抑制物質, サプレッサー細胞誘導に関与する因子を効果的に除去する可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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