抄録
2004年の台風15号は, 日本海沿岸部の水稲に甚大な潮風害を発生させた. 潮風害と水稲根活性の関係を明らかにするために, 八郎潟干拓地における代かきおよび不耕起水田において水稲の生育時期別の出液速度を測定した. また, 台風前の出液中のケイ酸量および稲体ケイ酸含有率と台風後の枯葉率の関係を検討した. その結果, 出液速度は不耕起区で高く推移した. また, 台風前の不耕起区における出液中のケイ酸量は代かき区に比べて多く, 稲体ケイ酸含有率は葉身, 茎において不耕起区が代かき区より有意に高かった. 台風通過後の不耕起区の枯葉率は代かき区に比べて小さく, 葉色の低下も緩やかであった. 不耕起区では代かき区に比べて, 登熟歩合が有意に高く, 収量は49%優った. また, 不耕起区では粒厚が厚い玄米の割合が多かった. 以上のことから, 不耕起区では水稲根活性の向上により代かき区に比べて, 強風による水分ストレスが軽減され, 生育後半まで葉身窒素濃度が維持されたため, 潮風害による大幅な減収が軽減された可能性が示唆された.