人工臓器
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無抗凝固剤透析器の血液出入口部形状の検討
内藤 秀宗宮崎 哲夫尾畠 昭二春名 邦昭尾畠 洋司春名 一八佐藤 隆光中路 修平難波 洋司伊藤 博光大谷 卓
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1983 年 12 巻 1 号 p. 79-82

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抄録

EVAL中空糸膜血液透析器(KF-101)を使用することにより無抗凝固剤血液透析療法を行なうことができる。しかし、透析器の血液出入口部(ブラッドポート)で血液が澱みを作ったり中空糸束への血液の分配が均等でないと、凝血を生じ透析不能に陥いる場合がある。ブラッドポート内での血流の状態を推定すべく、流れを軸対称のストークス流れであると仮定してナビエ・ストークスの運動方程式を有限要素法を用いて解析した。周辺部の立上りが急でふくらみが大きいと澱みを生じやすく、ロート状の傾斜面の仰角は10~20度の範囲が好ましく思われた。また、中空糸束とポート周辺までの距離が1.5mを超えると澱み部は急激に拡大する。試作したポートでは、中空糸1本当りの流量は中空糸束の中心から外層までほぼ均一であった。また臨床的にもポート内での凝血の発生が低減しており、血流状態の改善効果が確認された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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