人工臓器
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膜および抗凝固剤の中空糸内血球付着に与える影響について
中山 文義田村 克彦児島 弘臣高橋 淳子衣笠 えり子森河 浄関口 孝高橋 健秋沢 忠男佐藤 昌志北岡 建樹出浦 照国越川 昭三窪田 宏明松沢 公彦
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1983 年 12 巻 1 号 p. 83-87

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抄録

われわれは, 走査電顕を用いた人工腎血液適合性評価について検討し, 素材, 滅菌法, 形状, 抗凝固法などによる白血球・血小板付着の特徴について明らかにしてきた。今回は新たに透析膜として, セルロース・アセテート, エチレンビニルアルコール, ケン化セルロースエステル, セルロース・ジアセテート(CDA), 血漿分離膜として, CDA, PMMA, ポリマーアロイさらに抗凝固剤として合成抗トロンビン剤, MD-805, FUT-175を用いて同様の検討を行い, 併せて血流量や治療法の付着に対する影響についても同様の検討を加えた。透析膜への白血球付着は, 検討した4種の膜とも動脈側優位であった。抗凝固剤では, 両者とも付着パターンにヘパリンと差はみられなかった。治療法では, CDA膜を用いても血液透析に比し血液ろ過で白血球付着が少ないことが確認され, 血流速度が高いほど白血球付着はわずかであった。血漿分離膜では透析膜と異なり, 静脈側での赤血球, 血小板の付着が主体で, 白血球の付着はわずかであった。以上より, 膜への血球付着は素材, 抗凝固法などのみならず, 治療方法も大きく影響することが示された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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