人工臓器
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体外循環における限外濾過の有用性
―組織水分量の変化について
大谷 正勝広瀬 一松田 暉中埜 粛賀来 克彦白倉 良太安達 盛次高 義昭田村 謙二川島 康生
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1983 年 12 巻 2 号 p. 465-468

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抄録
希釈体外循環中に限外濾過(U-F)を用い、灌流血の膠質浸透(COP)を上昇させ、小腸組織水分量に与える影響を実験的に検討した。雑種成犬8頭に5時間の希釈体外循環を行った。体外循環(CPB)中に生じる灌流血液量の減少には乳酸加リンゲル液を補充した。5頭(I群)において、CPB 2時間目から4時間目までU-Fを施行し、灌流血液量の減少には、血液を補充した。他の3頭(II群)にはU-Fを行わなかった。CPB開始後、血清COPは著しく低下し、血清と胸管リンパ液のCOP較差は減少した。小腸組織水分量は2時間目にはI、II群とも増加した。CPB 2時間目以降は、I群で血清COPの上昇が得られ、血清とリンパ液のCOP較差は拡大した。4時間目には、その較差は最大となり、組織水分量は減少した。一方、II群では血清COPは低値のままで、4時間目の組織水分量は増加した、本実験に用いた限外濾過方法が、血液希釈のため生じた組織浮腫を減少させる可能性を示唆した。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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