人工臓器
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体外循環による全身高熱療法の基礎的検討
安倍 晋太郎門前 孝志高良 真一岩田 光夫高橋 晃
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1983 年 12 巻 2 号 p. 478-481

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抄録
体外循環による全身ハイパーサーミア(HT)は、近年進行癌に対する新しい療法として臨床で注目を集めている。今回我々は、ステンレスパイプからなる高性能な多管式熱交換器(有効面積0.06m2:HE)を用いて、直腸温で41.5-43.0℃連続4-10時間のHTを健康なイヌで行ったので報告する。体外循環は、全身麻酔下で一側の大腿動静脈間にAVバイパスを形成して行い、循環中20。30ml/kg/minの血流量を維持した。生体の温度は、血液加温温度を手動で変化させることにより±0.1℃の精度で調節した。直腸温を380℃から41.5℃に上げるのに要した時間は、高血液加温(46℃)で約30分, 低血液加温(43℃)で約45分だつた。高血液加温は著しい血小板減少を招来したが、低血液加温では軽度であつた。高性能左HEを使用し、低血液加温で行うことにより、侵襲の少ない安定したHTが可能である。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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