人工臓器
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肝不全血漿注入法による肝補助装置の評価
堀内 孝大坪 修稲生 綱政
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1983 年 12 巻 2 号 p. 546-550

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抄録
肝補助装置の評価は肝不全実験モデル作成における実験手技的困難さや目的とする除去物質が明らかとされていない事から, 臨床治験前に有用な情報を十分得るに至っていない。本報では虚血肝血漿, 無肝犬血漿, 肝extractの肝障害性を正常犬に注入することにより考察し, これら血漿および肝extractの吸着剤処理群と無処理群による肝障害性の差異を検討した。虚血肝血漿注入例では両群共に注入後一過性のトランスアミナーゼ, ビリルビンの上昇を示したが一週間後にはビリルビン値を除き正常値内に回復した。特に活性炭処理例は他例よりも早く正常化された。病理学的所見では無処理例, 樹脂群において肝細胞に広範なる水腫性変性及び肝構築の崩壊をみたが活性炭処理例では軽い変化にとどまっていた。一方, 無肝犬血漿注入例では生化学および病理学的所見において大きな変化は認められなかった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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