抄録
体外循環下開心術前後のレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の変動を検討してきた結果, 開心術前後にはRAA系の亢進がみられ, 血行動態の不婆定な症例では亢進が顕著であり, 更にRAA系の異常亢進が持続した際には, 生体のホメオスターシスが却って乱されることを示す所見が得られた。このため, このRAA系の亢進をブロックするべくアンギオテンシン変換酵素阻害剤(captoril), 静注用抗アルドステロン剤(canrenoate K), 蛋白分解酵素阻害剤(gabexate-mesilate)を投与し, それらの効果について検討したところ, RAA系のブロックとともに心・腎機能と水分・電解質代謝の改善が認められたことから, 開心術患者管理上有用であるとの結論を得た。