人工臓器
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血液における炭酸ガスの拡散係数の測定
谷下 一夫棚沢 一郎山口 隆美菅原 基晃
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1983 年 12 巻 2 号 p. 633-636

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抄録
血液における炭酸ガスの輸送は, 赤血球内の炭酸脱水酵素と関与しながら何段階もの化学反応を伴うので, 酸素の輸送と比べるとはるかに複雑なプロセスを経る。従って血液中の炭酸ガスの輸送は数多くの因子により支配されるので, 輸送のふるまいに関して定量的に把握されていない点が多い。本研究では人工肺設計あるいは性能評価に適用することを目的として血液における炭酸ガスの拡散係数を準定常法によって測定した。一定な厚み(~300μm)を持つ血液層を濃度の異なるCO2-N2混合ガスではさみこみ, 血液層を通過する炭酸ガス量から拡散係数を決定した。測定はイヌの血液を用いておこなった。炭酸ガス分圧が43mmHgと63mmHgとの間でおこなった測定では, 血漿たん白, 赤血球などは拡散に対して抵抗を示し, 拡散係数の低下の原因となった。低炭酸ガス分圧のもとでは, 拡散係数の増加が見出され, 炭酸ガス輸送の特徴と思われた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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